2009年04月27日
『本当はヤバくない日本経済』
三橋 貴明著 2009年4月25日発行 1470円(税込)
本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々
著者:三橋貴明
販売元:幻冬舎
発売日:2009-04-23
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著者の本業は中小企業診断士ですが、『本当はヤバイ!韓国経済』『本当にヤバイ!中国経済』などの本を書かれています。本書のタイトルは以前の著作を連想させます。
著者によると、世間でよく言われている「日本は外需依存である」、「円高は望ましくない」、「日本はもうダメだ」などは現実から過度な悲観に偏っており、実は日本は「ヤバくない」とのことです。
かなり長くなりますが、本書の主張が最後にまとめられいる部分があるので、引用してみます。
著者によると、日本とはすなわち
「輸出と輸入共に対DDP比率が相対的に低い内需依存国で、円高により輸入物価が下落し、国民の購買力が増強されており、潤沢なキャッシュを持つ企業が海外企業や権益を買いあさり、
GDP当たりのエネルギー効率が世界最高で、費用対効果の問題が解決すれば、エネルギー自給率100%を達成することが可能で、世界最大の資産を持つ国富ファンドが存在し、
主要国で最も犯罪率が低く、かつ犯罪件数が年々減少している安全な国で、『世界に良い影響を与える国』アンケート調査で3年連続首位を獲得するほど世界における評判が高く、
特許使用料の収支が黒字の数少ない国の一つで、最新技術を用いたプロジェクトが目白押しで、日本語が世界のブログ投稿言語のトップシェアを獲得するほど、国民の知識水準が高く、
世界の革新性ランキングにおいて1位を獲得し、世界最大の対外純債権国で、家系が世界で最も多額の現預金を保有している」
国家、となるとのことです。
日本で自国のことが過度に悲観的に伝えられるのは、不安を煽る方が媒体の売り上げが伸びるということがあるのでしょう。また、円高が否定的に語られることが多いのは、輸出企業がマスメディアのスポンサーになっていることも影響しているのかもしれません。
メディアにバイアスがかかるのは、商業的な意味から仕方ない面もあると思いますし、なかなか変えられないとも思います。そのあたりは読み手の方で修正すれば良いと思います。
本書はよく言われていることに対する反論的な意味もあるので、やや楽観的な面がフォーカスされていますが、きちんと悲観的な面も書かれています。一般的なメディアのバイアスを認識するために、本書は参考になると思います。
また最近は悲観論が蔓延しているので、個人としてのバランスを取るためにも、たまには楽観的な本にも目を通すのがよいようです。過度な楽観は問題ですが、過度の悲観もよくありません。悲観も楽観も超越して、淡々と現象を分析できるのがよいと思います。