2009年05月08日
『計画破産国家アメリカの罠 そして世界の救世主となる日本』
原田 武夫著 2009年4月22日発行 1680円(税込)
計画破産国家アメリカの罠 そして世界の救世主となる日本
著者:原田 武夫
販売元:講談社
発売日:2009-04-22
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外交官を経て独立後、自らのシンクタンクを経営されている原田武夫氏の新刊です。一般的に入手できる情報と独自の情報網をもとに、今後の世界情勢について独自の解釈とストーリーを構築されているのはいつも通りです。
本書では、今後のアメリカを中心とした世界情勢の展望と、日本の役割などについて述べられていますが、投資的には近々日本に「金融バブルにも似た状況が到来する」と書かれていることが見逃せないところです。
ただし、著者のこの予想の背景には、アメリカがデフォルト宣言するという予測があります。タイトルにあるように、アメリカは「計画破産」を企てているとのことです。
この予測が現時点で極めて一般的でないことは、著者も認識されているようであり、この点について最後の章に大手出版社幹部の方との対話の様子が載せられています。
著者は本書でいくつかのシナリオを検討された上で、上記の結論を主張されていますが、その結論を導き出すための情報の取捨選択や思考過程が本書の読みどころです。
アメリカのデフォルト後は北米大陸共通通貨のアメロ導入との予測で、これらは一連の流れだそうです。
アメリカがデフォルトするという予想がマーケットに織り込まれるようになれば、比較的安全な日本円が買われ、その運用手段として日本株が買われるというのが、日本で金融バブルが起こる根拠のようです。
もしもアメリカがデフォルトすると、ニクソンショック以上のショックがあるはずであり、そうなると本当に「100年に1度の危機」です。
現時点では、アメリカのデフォルト説はにわかには信じがたい話ですが、その緩やかな形であるドル安と米国債の下落は今後十分に考えられます。そうなると著者の予測と同じように、円が買われ日本株は高くなるのかもしれません。
本書に書かれている通りになるかどうかはわかりませんが、一つのシナリオとして意識しておくと、今後ドル安や米国債の下落が起こった場合にもその時の判断がしやすくなるかもしれません。


