2009年05月28日
『婚活―その人と結婚するために』
倉田 真由美著 2009年6月20日発行 620円(税込)
婚活―その人と結婚するために (王様文庫 E 39-1)
著者:倉田 真由美
販売元:三笠書房
発売日:2009-05-28
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まだ書影がありませんが、コミック『だめんず・うぉ〜か〜』の著者であるくらたまさんの本です。文庫本ですが書き下ろしです。本書はもともとは女性向けに書かれていますが、男性も参考にできると思います。
「婚活のススメ」からはじまり、出会い、きっかけ作り、惹きつけ、男性の選択、プロポーズ、結婚に至るまでのすべてのステージにおける、女性の考え方や実際のコツが著者の体験などを参考に書かれています。
本書に書かれていることもそうですが、婚活の本質は恋愛や結婚を意識的に行うことです。婚活は女性が行うものというイメージが強いのですが、これは女性の方はもともと男女関係を無意識的に行う傾向があるため、婚活という意識的な行為をする必要があるからでしょう。
女性に限らず、恋愛行動は男女ともに無意識的になされる部分が大きいのですが、男性は女性を「ゲット」する過程において戦略的な知恵を絞ることが多いため、意識的にならざるを得ないことが多く女性と比べるともともとより意識的です。
言い換えると、女性は男性と比べると、恋愛に対して意識的になるのが苦手です。恋愛を進行させるキーワードの一つは「自然」ですが、自然がよいのは女性が恋愛を意識化しなくてすむからです。
普段無意識的に行っている動作を意識したとたん、ぎこちなくなって上手くできなくなるということがありますが、女性についての恋愛も同じ面があります。
本書は、あらゆる点から女性に意識的になるように説かれています。本書にあるように、意識的になることによって結婚への道につながりやすいと思いますが、意識化というもともと女性が本質的に苦手なことを行うように説いているので、本書に書かれていることを行うのはそれほどやさしいことではありません。
本書に書かれていることは言葉として理解できたとしても、それを本当の意味で理解して実践するのは本来の性質と反対のことを行うという本質的な難しさがあります。
ダイエット本を読んでその内容を理解したとしても、実際に行うのは難しいのと同じことです。人間は基本的に食欲を我慢するようにはできていません。また、相場において損切りの重要性を言葉で理解していたとしても、実際に行うのも容易ではありません。
本書の著者のくらたまさんは女性ですが、男女関係のコミックを描くというプロなので女性でも恋愛を意識化できていると思いますが、ほとんどの女性にとって同じようにするのは難しいと思います。
本書に書かれていることの実践は難しいのですが、逆に考えると難しいからこそ本書に書かれていることを実践できる方は、それだけで他の人から抜きん出ることができて有利になるはずです。
たとえば、これは本書には書かれていないのですが、男性が本来的に持っている浮気したい性質について受け入れることのできる女性は、おそらくパートナーにより大事にされるでしょう。なぜなら、男性の本質を理解できてそれを受け入れることができると、男性は女性に「愛されている」と思うからです。しかしながら、多くの女性はそうできません。
恋愛において意識的にふるまうのは本来男性の役割なので、本書に書かれていることの多くは、少し読み替えると男性も応用できます。一昔前であれば、本書のエッセンスは男性が理解すべき内容であったことでしょう。
婚活は社会的現象になっておりテレビドラマになるほどのブームですが、果たしてそれがうまくいくかどうかは分からないところです。今のところは女性が意識的になるという流れですが、これは女性の本来の性質に反する流れです。
それならば、女性でなく男性がより恋愛行動をより意識化すればよいと思われるかもしれませんが、男女関係を十分に意識化してうまく行動できる男性は結婚の方向に向かわず、現代においては多くの女性とセックスをすることにそのエネルギーを傾けやすいと思います。
男女の結婚がスムーズに行われるためには、女性が意識的にならなくてもよいシステムがあるとよいと思います。そのような点においては、昔のお見合い制度はよいシステムでした。
なんとかして結婚しようとすると無理が生じる面がありますが、無理が生じるということは、現代の日本においては現行の結婚という制度に無理があるのかもしれません。