2009年06月20日
バブルの先見性
世界の歴史において、今までいくつものバブルが起こっては破裂してきました。古いものでは、オランダのチューリップバブル、イギリスのサウスシーバブル、フランスのミシシッピー計画、1920年代のアメリカの株式市場におけるバブルなどがあります。
新しいものでは、インターネットバブルや、ごく最近の原油バブル、新興国バブルなどがあります。バブルは非合理的と言われていますが、その中にも人間の先見性が含まれているように思います。
歴史を振り返ると、バブルになったものはバブルがはじけた後にはその価格は暴落しています。
しかしながら、その後ゆっくりと期待された価値が認められることがほとんどです。
イギリスのサウスシーバブルは崩壊しましたが、その後イギリスは7つの海を制すると言わるまでになりました。
フランスのミシシッピ計画も破綻しましたが、そのバブルの期待感の源となった新世界であるアメリカは長期的な発展を遂げています。
1920年代のアメリカの株式市場のバブルは崩壊した後大恐慌となりましたが、その後のアメリカはバブルの原因の一部となった自動車や電波などのテクノロジーとともに世界の覇権国になっています。
価値がなさそうなオランダのチューリップですら、その後オランダの産業となり、チューリップと言えばオランダが思い浮かぶほどになっています。
インターネットバブルについても、バブルが破裂した後にインターネットの影響は、世界のすみずみにまで浸透しています。
バブルははじけましたが、バブルの対象となったものは、その後時間をかけて、もともと「過大に」期待されていた価値を開花させています。
有名なバブルのうち破裂してその後に期待された成長をしていないのは、日本のバブルくらいではないでしょうか。まだ長期的にどうなるかは確定はしていませんが、今のところは期待されていた成長を日本はしていません。
最近の資源バブルや新興国バブルについては、今後どのようになるかはっきりするでしょう。以前はバブルが破裂してから期待された価値が発現するまでは、数十年単位の時間がかかっていましたが、最近は数年単位になってきているかもしれません。
人間はバブルを起こすような対象について過大評価しているためにバブルが生じると言われていますが、実は過大評価ではなく、正当に評価していることが多いのかもしれません。
問題なのは時間の感覚がおかしいことです。現実の世界である事柄の価値が発現するまでにはそれなりの時間がかかりますが、人間はその時間を速く見積もりすぎてしまうようです。
バブルと対象となるものの長期チャートは左の方に急峻な山があり、その右になだらかな右肩上がりの斜面があります。チャートを積分すると、積分値はその対象が創り出す価値とそんなに大きくはずれていないかもしれません。
投資する場合には、最初の急峻な山の場合、買い時、売り時とも難しいと思います。もしもバブルになるものに投資するとすると、ほとんどの場合、最初の山が崩壊した後しかありません。
インターネットバブルが崩壊してヤフーの株価が下がりきったときにヤフーに投資できた人は、インターネットバブル以前に株を買ってバブルの高値で売った人に劣らないパフォーマンスが得られたことでしょう。
投資の観点からは、バブルが崩壊した後が最も重要であると思います。