2009年07月10日
『新・資本論 僕はお金の正体がわかった』
堀江 貴文著 2009年7月24日発行 680円(税込)
新・資本論 僕はお金の正体がわかった(宝島社新書 292)
著者:堀江 貴文
販売元:宝島社
発売日:2009-07-10
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著者は言わずと知れた方です。各章の始めにインタビューの導入があり、その後に本文がある形式になっています。活字が大きく、ページ数も少なく、行間も広いので、通読しやすい本です。文字情報は少なくシンプルですが、内容は濃いと思います。
本書のテーマはお金ですが、お金を生むものが信用と書かれているので、本書のテーマは信用ということになると思います。各章のタイトルは以下の通りです。
- 日本は幸福な国なのか?
- 貯金と借金
- マネーと教育
- ルールの運用は恣意的に行われる!
- いつだって先行きは不安
本書は広い意味での金融リテラシーについての本ですが、一般的な金融リテラシーの本と比べると、お金というものについてより本質的で実用的な考え方が述べられています。
本書の読後感は、ひろゆき氏の本を読んだときの読後感と似ています。合理的で納得できる内容なのですが、おそらく一般的にはすべての人には理解されにくい内容であると思います。
本書に書かれているようなことは、おそらくビジネスで成功している一部の方が経験的に把握していると思われますが、他者には積極的に語らない内容です。自分の利益の源泉となる考え方だからです。
このようなことについて正直に話されるのが著者の魅力でしょうし、その他のことについて話しすぎてしまうことがあるのが、一部の人々に反感を買う場合もある理由になっているのかも知れません。
本書を読んでも感じるのですが、やはり現在の日本の活力が低下しているのは、若い人のパワーがさまざまな形で吸い取られているからであると思います。
パワーを吸い取る形は、配分されるお金を少なくする、本当に有用な情報を与えない、何かを行う機会を奪うなどさまざまな方法があります。
パワーが吸い取る流れがあっても、その逆境をものともしない人もいますが、全体としてみるとリスクを取る若者は減ってしまいます。
社会においては、一定の割合で新たなことをリスクを取って始める人が必要とされますが、本来その役割を担うのは若い人です。もともとリスクを取りやすい人からパワーを奪うと、社会全体のリスクをとる存在の割合が減ってしまいます。
社会はある程度安定させる必要はありますが、新たな流れを創って活性化する必要もあります。要はバランスだと思うのですが、高齢化しつつある社会は自然な状態に任せておくと、過度に安定させる方向になってしまいます。
そのような場合は、あえてその安定化させる方向に逆らうくらいでちょうどバランスが取れると思います。おそらく現在の日本にとってよいのは、ちょっと大丈夫かなと思われるくらいの状態です。
若者と社会はある程度の緊張感があるくらいが、社会のあり方としては健全だと思いますが、現在の日本は若者のパワーが奪われすぎてしまって、その緊張感がなくなっていると思います。