2009年08月23日
『モテの真実』
織田 隼人著 2009年9月5日発行 1680円(税込)
モテの真実
著者:織田 隼人
販売元:あさ出版
発売日:2009-08-25
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本のテーマやページ数、本を持ったときに受けるズッシリ感など、以前に紹介した『モテ・バイブル』と同じ印象を受けるのですが、『モテ・バイブル』が肉食系的であるのと対称的に、本書は草食系的な内容です。
本書の内容を一言で述べるとすると、「草食男子の恋愛学・実践編」ということになるかと思います。個人的には肉食系こそが男性性の本質であると思ってはいるのですが、昨今の時代状況を勘案すると、現実的には草食系男子となる方が時代に適応的な部分もあるのかもしれません。
本書の目次は以下の通りです。
- 「女」という生き物
- 「見た目」という魔物
- 「出会い」からすべてが始まる
- 「ターゲットとなる女性」の見つけ方
- 「デート」で自分に合った相手を見つける
- 「告白」しよう
- 「付き合い」が始まったら
- 「恋人同士」の付き合い
- 「結婚したい」と思ったら
第4章のタイトルに「ターゲット」などという肉食系的な言葉が使われていますが、本書の基本は冒頭にも書いたように草食系です。最後が「セックスしたい」ではなく「結婚したい」で締めになっていることからも、そのことがよくわかります。
本書に書かれていることは、女性が意識の部分でどのように恋愛を進めたいかということが根底にあるように思います。本書における男性の役割は、いかにしてその期待に添うかになっています。
時代的にこのような状況になっているのは、労働市場における男女間の裁定が行われており、男性の商品価値が低下し続け、女性の商品価値が上昇し続けていることが原因の一つです。
男性から女性に提供できる経済的価値が低下し続けているため、男性は女性好みの男性になって女性に迎合することにより、その失われた価値を補填するしかありません。
適応するもののみが生存するという適者生存の原則からすると、現代においては女性に迎合して何とか結婚に至ることのできる男性が勝ち組と言えるのかもしれません。
本書に書かれていることの多くは、いかに女性に喜ばれるような細やかな配慮ができるかですが、これは男性が多くの部分で女性化することが求められているということです。
恋愛の楽しみの本質は、その進行の過程において男性がより男性化し女性がより女性化し、互いに異質な存在である両者が一体化することなので、現代は恋愛の本質的な喜びが得られにくい時代になっているのかもしれません。
本書に書かれているような心構えや行動を実践すると、女性と親密な関係を築いて、恋愛・結婚に至るプロセスがスムーズになると思いますが、長期的な視点で考えると、男性としてはどこか不全感が残ると思います。
ただし、現在の日本においては、その不全感を感じることができるくらいの状態になっていれば、男性としては恋愛において十分に勝ち組になっているといえるのかもしれません。
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この記事へのコメント
ちがいを教えていただけると嬉しいです。
星の数については主観的なものです。『モテ・バイブル』と本書の星の数の違いは、肉食度の違いと、本の中で著者がどれくらい自分をさらけ出されているかにあります。
恋愛は男性の肉食度が高いほど男女の男性性と女性性がはっきりするので、恋愛の楽しみが大きくなると思っています。肉食度が高いだけではうまくいきませんが、大本には肉食性、つまり男性性があるのがよいと思います。
あくまで個人的な好みです。他の人が評価すると星の数も違ってくると思います。