2009年11月16日
『日本金融恐慌 間奏曲〜日経平均4000円時代が来る』
大竹 愼一著 2009年11月21日発行 1680円(税込)
日本金融恐慌 間奏曲~日経平均4000円時代が来る
著者:大竹愼一
販売元:フォレスト出版
発売日:2009-11-14
おすすめ度:
クチコミを見る
著者は独立してファンドマネジャーをしている方です。今までにも世界経済、日本経済、株式投資などについての本を数多く書かれています。著者の本は好きなので、手に入るものはだいたい読んでいると思います。
著者の本は歯に衣着せぬ辛口の論調のものが多く、短・中期的には悲観的な内容のものがほとんどです。本書も今後数年の日本経済について、明るくない展望が書かれています。本書の目次は以下の通りです。
- 労働力の不均衡
- 資本の不均衡
- 日経平均4000円へのカウントダウン
- 日本の経済オンチは、なぜ治らないのか
- それでも土地神話にしがみつく日本人
- そして、その日がやって来る
著者は4年以上前にも『日経平均4000円時代が来る』という本を書かれており、根本的な主張は本書でも変わりありません。日本は長期下落トレンドの過程にあり、日経平均が4000円程度になって膿を出し切らないと日本経済の再生はないということです。
本書では日経平均が4000円台になる時期を、具体的に2012年から2015年とされています。本書にはその根拠や考え方などについても書かれています。
日本経済の停滞が長期的に続いているのは、本来の金融機能がうまく働いていないことにあるようです。著者は以前からそのことを主張されており、本書でもその主張に変わりはありません。
具体的には、国がさまざまな市場操作を通じて金利を低く保っているため、企業として潰れるべき企業が潰れていないためのようです。銀行も含めて、潰れるべきところは潰れるべきであるということが、本書においても、そして過去の著作においても繰り返し書かれています。
著者は日本が日経平均が4000円に向かうような下落トレンドにあるとは書かれていますが、日本について長期的には悲観的ではないと思います。日経平均4000円、金利5%の状況を経れば、2割の強い企業が生き延びて、その後日本経済は再生して発展すると思われているようです。
日本には経済的な蓄積があるため、現在に至るまで先送りと延命が続けられていましたが、いつかはその蓄積も尽きてしまいます。破綻→再生のプロセスを先延ばしにして大きく落ち込むか、つねに破綻→再生のプロセスを小刻みに起こすことのできるシステムにするかを選択する必要がありますが、日本はずっと前者の道を進んでいるようです。
日本は総体的によいものを持っていると思うのですが、破壊と再生のプロセスの点で欠けているところがあるように思います。そのあたりの厳しさは男性性ですが、その観点からもやはり日本には男性性が不足しているように思います。