2010年01月20日
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』
酒井 穣著 2010年1月20日発行 777円(税込)
「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
著者:酒井穣
販売元:光文社
発売日:2010-01-16
おすすめ度:
クチコミを見る
ベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者の最新作で、オビにもそう書かれています。タイトルに「テキスト」とありますが、新書ながら本書はかなり体系的な内容です。
本書は著者が勤務されている会社の「人材育成プログラム」の一部だそうです。一部とのことですが、本書の内容だけでもかなり完成度が高いと思います。本書の目次は以下の通りです。
- 何のために育てるのか(人材育成の目的)
- 誰を育てるのか(育成ターゲットの選定)
- いつ育てるのか(タイミングを外さない育成)
- どうやって育てるのか(育成プログラムの設計思想)
- 誰が育てるのか(人材育成の責任)
- 教育効果をどのように測定するか
- 育成プログラムの具体例
各章の終わりにコラムもあり、本文だけでなくコラムも読みごたえがあります。
職場における人材育成は、「なんとなく」行われていることも多いと思うのですが、本書ではその「なんとなく」の部分を抽出してエッセンスがまとめられていると考えてよいでしょう。
現代においてそのような作業が必要とされるは、社会が、そして会社が組織として複雑で高度になってきているからです。
人はみな喜びという原始的な感情を潜在的に持っていますが、人間社会の複雑化により、その感情が社会生活を通じては引き出しにくくなっています。
人が人生の多くの時間を過ごすことになる仕事の場は、現代においては会社であり、会社という場を通じて人生の喜びをいかに引き出すかは現代人の大きなテーマですが、あまり体系的には実践されていないことが多いと思います。
仕事を通じて人生の充実感を得るためのキーワードは、本書に述べられているように「成長」なので、人材育成はいかにして人を成長させるかということがポイントになります。
会社に限らず、複雑化した社会と人間の原始的な感情を調和させることにより幸福感を感じられるようにするかはこれからの人間の課題です。本書に書かれていることはその一つの解決案になっています。
逆説的ですが、社会が高度化すればするほど人間の原始的感情は相対的な重要性が高まります。著者の本が受けいられているのは、現代に必要とされるそのあたりの調整をテーマにされているからであると思います。
著者の試みはまだ始まったばかりのようなので、著者が抽象化されているエッセンスが、今後どのようにさまざまな会社の現場で具体化されていくかを楽しみにしたいと思います。
トラックバックURL
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
3つぐらい前の記事でもそうでしたけど
著者からコメントがくるなんて
すごーい

よい週末を Y
著者よりコメントいただきありがとうございます。人材育成のテキストが発展していくことを願っています。
>Yさん
最近は本を書かれた方は、自分の本が記事になっているブログはよくご覧になっているようです。
ありがとうございます。Yさんもよい週末をお過ごし下さい。