2010年03月15日
家業再生26
それにしても今年の冬、とくに年末の12月と1月は売上げが落ちました。同業者の評判でも、去年の秋頃から急激に客足が遠のいたという話を間接的によく聞きました。
12月と1月に稼働率が低下するのは例年のことなのですが、今年は今までにない落ち込みです。実家のホテルだけが悪いわけではないことは、宿泊予約サイトの順位から分かります。うちが特に悪いのであれば、宿泊数ランキングの順位が低下するはずですが、順位は数ヶ月前とほとんど変わりません。
また他のホテルの稼働率もよくないことは、どれくらいインターネット価格を下げているかからも知ることができます。一泊2〜3千円はザラでしたが、これは本来の定価の半値くらいです。
事業の先行きを心配する母は、秋にやっとの事でお金を借りることができたにもかかわらず、予定していた投資を躊躇していました。年末年始は帰省するたびに、投資したがらない母と毎回のように深夜まで議論を続けました。
母としては、借りた資金を運転資金として取っておきたいということでした。しかしながら運転資金が足りないのであれば、それはそれで借りるべきです。もしも今回の資金を設備投資に使わなければ、何のためにお金を借りたのか分かりませんし、そもそも金融機関との契約違反になってしまいます。
できるところはなるべく自分でやることや、販売店や業者とできる限りの選定や交渉をすることを主張して、何とか投資を予定通り遂行する方向にに進んでいます。
景気が悪いときに投資をしておきたいのはいくつか理由があります。
- 金利や物・サービスが安い
- お客様が少ない方が工事などしやすい
- 他の同業者が投資をしていないので、景気が回復したときに差をつけやすい
もちろんこのまま底なし沼のように日本経済が沈んで回復しないことや、デフレによって実質的な金利が高くなることも考慮しないといけないのですが、冬がよくないのは季節的な要因も大きいので、春から夏、そして秋にかけてはお客様は冬よりは増えるはずです。
そもそも投資をしてダメならば、投資をしなければもっとダメです。投資するコストは削るところまで削っているので、できるだけ今のうちにある程度の投資を遂行してしまいたいところです。
このように2月くらいまで思っていたのですが、3月になると予想通りと言うべきか、お客様が増え始めました。このことはもちろん嬉しいのですが、とくにうちの設備やサービスがよいから増えているわけではありません。ある程度設備はよくなっていますが、そのことはお客様はまだ知らずに宿泊されているはずだからです。
株価が上下することに一喜一憂しても仕方ないように、お客様が増えたり減ったりすることに過度に一喜一憂する必要もないと思い、そのことを帰省しているときに母によく話すのですが、現場にいる母はやはり日々の稼働率に気分が大きな影響を受けるようです。
やるべきことは、ホテルの設備とサービスを高めることを一定レベルに達するまで淡々と続けていくことです。そうするとある程度のレベルを超えたところでコップの水があふれ出すように、稼働率も高いレベルを維持し続けることができるようになると思います。
安心できるのはその一定レベルを超えた時点であり、意識を集中するのはそのレベルに達するためにはどうすればよいかということだけです。稼働率はあくまで結果であり、コントロールできるのは質を高めることだけです。
お客様が増えても過度に喜ぶ必要はありませんし、お客様が減っても悲観的になってやるべき投資を躊躇するべきではないということは、最近母に繰り返し話していることです。なかなかすぐにはわかってもらえないのですが。
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この記事へのコメント
株やFX等の投資には向いていますね。成果はいかがですか?
家業は責任がそれほど重くないだけに、本業よりも冷静になれる部分があります。そのような意味においては、ちょうどよい距離感なのかもしれません。
FXはやらないのですが、株は経営と比べると冷静になるのが難しい面があります。実際に体を使わない分難しいです。下がったときに買うのはそこそこできるのですが、上がったときに売るタイミングがまだ掴みきれないようです。
業界の最新事情を教えていただきありがとうございます。それぞれの立場で生き残りのために工夫しているのがよくわかります。都内でビジネスホテルと競合するのは、タクシーであったりするようです。