2010年04月07日
『「お金」のシークレット―人生を変える“感情”と“お金”の法則』
デビッド・クルーガー著 神田 昌典監訳
2010年4月10日発行 1890円(税込)
「お金」のシークレット―人生を変える“感情”と“お金”の法則
著者:デビッド・クルーガー
販売元:三笠書房
発売日:2010-04-02
おすすめ度:
クチコミを見る
監訳者の名前で買ってしまう本ですが、期待を裏切らない本です。著者は精神科医の方で、著者紹介によると、「いかに「無意識下の思い込み」がお金の問題として露見するかに着目」されたそうです。
著者紹介からは、自己啓発書にありがちな潜在意識本的な内容を想像しましたが、思ったよりも「ふつうに」書かれている本でした。「ふつう」というのは、潜在意識などについてふだんあまり関心がない方にとっても、本書はそれほど内容に抵抗を感じないのではないかということです。本書の目次は以下の通りです。
- 「お金の世界」に起きた最大の変化
- 運命が左右される質問---あなたにとって「お金」とは何か?
- お金の魔力---人生の中で、あなたが大切だと思うものは?
- 「失ったもの」を見る人、「残ったもの」を見る人
- あなたを動かす「お金の物語」
- お金の決断---「大儲けしたとき」、あるいは「大儲けを想像したとき」
- 投資の判断---あなたの都合のいいことばかりは起こらない
- 天使の「節約」---”ムダ遣いの落とし穴”を知る
- 「見えないお金」---クレジットカードの真実
- ”うまい話”---「今だけ」「あなただけ」という罠
- ”報酬”---「お金はいくらあれば十分ですか?」
- 人生を”次のステージ”へ引き上げる「金銭力」
- あなたの新しい「マネー・ストーリー」をつくる!
- 「本当に大切なもの」を手に入れる生き方
本書はお金との関係を見直すことによる自分探し的な内容も豊富です。お金と自分との関係について考え直すいくつかのワークがあります。
行動ファイナンス的な解説も多く、最近の学問の結果を含ませていますが、かなり平易に書かれているのでそれほど難しくはありません。
本書の最終的な目的は、お金との適切な関係を保ちながら、お金に振り回されず、お金をうまくコントロールして利用できるようになることです。そして幸福とは何かを理解することです。
お金についての本や行動ファイナンスの本を何冊か読まれたかにとっては、本書に書かれていることは実はそれほど真新しいことではないかもしれませんが、自分とお金に関することがバランスよくまとめられているので、そのあたりが本書の読みどころと思います。
本書は今回の世界的な金融危機後に出版された本です。バブルがはじけた後にアメリカ人はお金や借金との関係を見直す必要に迫られたはずであり、そして現在も迫られているはずですが、本書はそれらの人々を意識して書かれている部分もあるかもしれません。
本書はお金に対する思い込みの解消と再構築がテーマになっていますが、思い込みはお金に限らず人生にまつわるほとんどのことに存在します。そしてそれらの思い込みは、人生の幸不幸を創り上げています。
人によって何にこだわっているかは違いますが、お金に対しては多くの人が執着しています。本書を通じてお金に対する執着を考えることによって、自分自身の内部にある執着そのものを自分で見つめ直すことができるようになると、本書の意義はさらに大きくなるのではないでしょうか。