2013年07月25日
家業再生49(過大な借入金その2)
社長である父は、家族には知らせることなく、「3億円で買う人が見つかったら売りたい」と知人の不動産業者に声をかけていたようです。
土地建物の推定市場価格が2億円強なので、もしも3億円で売れていたとしたら、手元には1億円弱のキャッシュが残ります。父個人の貯金を7千万円ほど会社に貸していたので、自分の貯金は取り戻して、さらに少々のプラスアルファを・・・、それで会社をたたんで日々の経営の苦しみから解放されれば、まあよしと思っていたのでしょう。
しかしながら、人生がうまく回ってない時には、そのような都合のよい取り引きは成立しないものです。
土地建物の推定市場価格が2億円強なので、もしも3億円で売れていたとしたら、手元には1億円弱のキャッシュが残ります。父個人の貯金を7千万円ほど会社に貸していたので、自分の貯金は取り戻して、さらに少々のプラスアルファを・・・、それで会社をたたんで日々の経営の苦しみから解放されれば、まあよしと思っていたのでしょう。
しかしながら、人生がうまく回ってない時には、そのような都合のよい取り引きは成立しないものです。
残念ながらというべきか、幸いにしてというべきか、3億円の買い手は現れませんでした。事業がうまくいかず売らないといけないような時に、市場価格よりも3〜4割程度高い指し値で売買が成り立つほど、世の中都合よくはできていないのかもしれません。
もしも父がすべてを売って苦しみから解放されたいのであれば、市場価格ですんなり売って自分の貯金の分については損切りするべきだったと思います。
株式投資で考えると、購入時の予想から大きく外れて下落した銘柄を、買値まで戻ったら売ろうと思って損失を拡大させるようなものです。
結局、売りたい値での買い手は見つからない、借りられそうな知人からはほとんどお金を借りてしまった状況で、何とか金融機関から運転資金を借りようとしたことが推察されます。
借り入れに対する担保価値が少なくなっているため、先方から「息子さんがいらっしゃいましたね。息子さんが保証人になってくれるのなら・・・」ということで、 5年くらい前に初めて保証人となる話が自分に回ってきたわけです。
それまでは、父以外は会社の数字の現状を全く知りませんでした。保証人の話が父より自分にあってからも、父の口は重く、すべての状況を把握するまでに数年の歳月が必要でした。
長年隠していた自分の失敗を、家族に負担をかける形で話すのはとてもつらいことであったはずです。以前にも書きましたが、父は自分が従事している仕事をどこか低く見ているところがあり、自分の子供を「誰にでもできるつまらない仕事」に全く関わらせたくもないし、継がせたくもありませんでした。
ちょっと厳しい言い方になってしまうのですが、何かを低く見るとその低く見ていたものからしっぺ返しを受けることが多いように思います。
父にとっては、それが商売であり、お金を稼ぐことでした。
もしも父がすべてを売って苦しみから解放されたいのであれば、市場価格ですんなり売って自分の貯金の分については損切りするべきだったと思います。
株式投資で考えると、購入時の予想から大きく外れて下落した銘柄を、買値まで戻ったら売ろうと思って損失を拡大させるようなものです。
結局、売りたい値での買い手は見つからない、借りられそうな知人からはほとんどお金を借りてしまった状況で、何とか金融機関から運転資金を借りようとしたことが推察されます。
借り入れに対する担保価値が少なくなっているため、先方から「息子さんがいらっしゃいましたね。息子さんが保証人になってくれるのなら・・・」ということで、 5年くらい前に初めて保証人となる話が自分に回ってきたわけです。
それまでは、父以外は会社の数字の現状を全く知りませんでした。保証人の話が父より自分にあってからも、父の口は重く、すべての状況を把握するまでに数年の歳月が必要でした。
長年隠していた自分の失敗を、家族に負担をかける形で話すのはとてもつらいことであったはずです。以前にも書きましたが、父は自分が従事している仕事をどこか低く見ているところがあり、自分の子供を「誰にでもできるつまらない仕事」に全く関わらせたくもないし、継がせたくもありませんでした。
ちょっと厳しい言い方になってしまうのですが、何かを低く見るとその低く見ていたものからしっぺ返しを受けることが多いように思います。
父にとっては、それが商売であり、お金を稼ぐことでした。
この記事へのコメント
1. Posted by みちる 2013年07月25日 22:36
bestbook先生、少し拝見しただけで、いかに大変な状況を乗り越えてこられたのかが窺われます。
土地の売買については、先生の仰るとおりだと思います。ここ15年くらいの不動産の動きを観ていましても、そんなに売り手有利な条件で、第三者間の売買が成立した事例を見たことがありません。
お父様はプライドが高くて、資産家でもいらっしゃった。なまじ個人資産があると、却って経営悪化の傷口を広げてしまうことがありますね。
建前では、法人と個人は明確に区分されていますが、現実問題として会社と代表者は一体です。
会社で借入する時の連帯保証人になるわけですから。
再建の途中で不幸にもお亡くなりになってしまうケースなどでは、預貯金はないのに、会社への莫大な貸付金が相続財産になってしまうような悲惨なことも起こります。
先生のお父様をご覧になる眼差しは、冷静であって温かいです。
会社は既に危機を脱しているとのことですので、安心して続きを拝見することができます。
土地の売買については、先生の仰るとおりだと思います。ここ15年くらいの不動産の動きを観ていましても、そんなに売り手有利な条件で、第三者間の売買が成立した事例を見たことがありません。
お父様はプライドが高くて、資産家でもいらっしゃった。なまじ個人資産があると、却って経営悪化の傷口を広げてしまうことがありますね。
建前では、法人と個人は明確に区分されていますが、現実問題として会社と代表者は一体です。
会社で借入する時の連帯保証人になるわけですから。
再建の途中で不幸にもお亡くなりになってしまうケースなどでは、預貯金はないのに、会社への莫大な貸付金が相続財産になってしまうような悲惨なことも起こります。
先生のお父様をご覧になる眼差しは、冷静であって温かいです。
会社は既に危機を脱しているとのことですので、安心して続きを拝見することができます。
2. Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 2013年07月25日 23:16
内容的にコメントしにくいのですが、毎回このカテゴリの記事はドキドキしながら読んでます。
3. Posted by bestbook 2013年07月28日 00:20
>みちるさん
お書きの通り法人と個人は一体でして、実際上は個人の不動産をホテルが借りる形を取っているのですが、ブログでは金銭的なことは一体として単純化して書いています。現実では会社の借金と父の個人の借金は別ですが、会社の借金は個人が保証しているので、同じようなものですね。
父の貸付については、以前は相続税は無視できるくらいの状態だったのですが、状況が変化してきて処理する必要性が将来的に高くなりそうです。将来的には形の上でいったん会社を清算して貸付を帳消しにするかもしれません。
自分からすると、父に対して温かいかどうかは?です。会社を存続させることはどこか父の意向に反しているところもあるので。でも、ありがとうございます。
会社を身売りするかどうかといったような以前ほどの危機は脱したのですが、まだまだ借金完済は先の話なので、今後も予断は許さない感じです。
安心して読んでいただける状況が続くよう、今後も頑張らねばと思っています。
>smoothさん
ありがとうございます。専門家の視点からはコメントしにくいことと思います。数年前に有料でご相談すればよかったです(笑)
お書きの通り法人と個人は一体でして、実際上は個人の不動産をホテルが借りる形を取っているのですが、ブログでは金銭的なことは一体として単純化して書いています。現実では会社の借金と父の個人の借金は別ですが、会社の借金は個人が保証しているので、同じようなものですね。
父の貸付については、以前は相続税は無視できるくらいの状態だったのですが、状況が変化してきて処理する必要性が将来的に高くなりそうです。将来的には形の上でいったん会社を清算して貸付を帳消しにするかもしれません。
自分からすると、父に対して温かいかどうかは?です。会社を存続させることはどこか父の意向に反しているところもあるので。でも、ありがとうございます。
会社を身売りするかどうかといったような以前ほどの危機は脱したのですが、まだまだ借金完済は先の話なので、今後も予断は許さない感じです。
安心して読んでいただける状況が続くよう、今後も頑張らねばと思っています。
>smoothさん
ありがとうございます。専門家の視点からはコメントしにくいことと思います。数年前に有料でご相談すればよかったです(笑)
4. Posted by windowsancomia 2019年01月11日 07:17
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