2013年07月29日
家業再生50(過大な借入金その3)
以前にも書いたのですが、開業当初の金回りがよかった頃、父はよく言っていました。
「お金を稼ぐのは簡単だ」
「商売をすることはレベルが低い」
「こんなことはだれでもできる」
「お前にはこんなくだらない仕事はしてほしくない」
本当はもっと「高度な」一般的に社会的地位の高いとされている職業に就きたかったにもかかわらず、若い頃の事情により志が遂げられなかった気持ちの反動によって、商売とお金儲けに対する過度な蔑視が生じたのかもしれません。
父はお金儲けは簡単だと思っていました。実際のところ、創業当初は金回りはよかったようです。
「お金を稼ぐのは簡単だ」
「商売をすることはレベルが低い」
「こんなことはだれでもできる」
「お前にはこんなくだらない仕事はしてほしくない」
本当はもっと「高度な」一般的に社会的地位の高いとされている職業に就きたかったにもかかわらず、若い頃の事情により志が遂げられなかった気持ちの反動によって、商売とお金儲けに対する過度な蔑視が生じたのかもしれません。
父はお金儲けは簡単だと思っていました。実際のところ、創業当初は金回りはよかったようです。
創業当初はバブルの好景気とも重なって、怖いもの知らずです。当時は日本全体がそうだったようです。もともとお酒を飲むことが好きだった父は、以前からよく酒場に行っていましたが、開業して社長になってからは、ブランドもので身を固めて夜の街へ毎日のように繰り出していました。
ある日父が少し自慢そうに尋ねました。
「この上着いくらかわかる?」
子供の目から見ても高級そうな雰囲気が感じられる上着です。洋服の値段などよくわからなかったため、黙っていると父は両手を合わせて、指の数がわかるように8本立てています。
(8万円もする服があるのか・・・。)
8万円という数字はわかりますが、子供の金銭感覚からすると想像もつかない額です。少し驚いた表情をしていたかもしれない自分に向かって、内緒話をする時のように唇の前で人差し指を立て、小さな声で父は言いました。
「80万円。でも半額の40万円で買ったから安かった。」
その当時父の金回りがよかったのは、日本がバブル景気だったということはもちろんあるのですが、それよりも大きな理由があります。
銀行から4億円を借りたことは書きました。これも比較的最近聞いたのですが、最初の2年は元本の返済が猶予になっており、金利だけを支払うようになっていたようです。元本を返済しなくてもよいので、当然のことながら、その分手元に本来は返済に回っているはずのお金が残ります。
なぜそのような契約になっていたのか尋ねたのですが、「最初は事業が安定しなくて返済が苦しいでしょうから」と銀行には言われたとのことでした。
そのような面はもちろんあったのでしょうが、元本を返済しないと債務が減らず、利息による収益を最大化できるという先方の思惑もあったはずです。
おそらく当時は土地の市場価値は4〜5億円、バブルの頃はそれ以上あったかもしれません。土地の価格は値上がり続けるという土地神話が生きており、金融機関は4億円を融資してくれました。
しかしながら、自己資本の土地と借り入れによる建物を合わせて8億円のリスク資産の運用で、せいぜい1億円の売上、オーナーの手元に残る利益は初期の調子が良い時期でもたかだか2千万円くらい。そもそも前提からしてどうだったのか?
両親それぞれに訊いてみたのですが、父も母も答えは一緒で、「専門家のコンサルタントが計算して大丈夫と言ったから」のみです。
ある日父が少し自慢そうに尋ねました。
「この上着いくらかわかる?」
子供の目から見ても高級そうな雰囲気が感じられる上着です。洋服の値段などよくわからなかったため、黙っていると父は両手を合わせて、指の数がわかるように8本立てています。
(8万円もする服があるのか・・・。)
8万円という数字はわかりますが、子供の金銭感覚からすると想像もつかない額です。少し驚いた表情をしていたかもしれない自分に向かって、内緒話をする時のように唇の前で人差し指を立て、小さな声で父は言いました。
「80万円。でも半額の40万円で買ったから安かった。」
その当時父の金回りがよかったのは、日本がバブル景気だったということはもちろんあるのですが、それよりも大きな理由があります。
銀行から4億円を借りたことは書きました。これも比較的最近聞いたのですが、最初の2年は元本の返済が猶予になっており、金利だけを支払うようになっていたようです。元本を返済しなくてもよいので、当然のことながら、その分手元に本来は返済に回っているはずのお金が残ります。
なぜそのような契約になっていたのか尋ねたのですが、「最初は事業が安定しなくて返済が苦しいでしょうから」と銀行には言われたとのことでした。
そのような面はもちろんあったのでしょうが、元本を返済しないと債務が減らず、利息による収益を最大化できるという先方の思惑もあったはずです。
おそらく当時は土地の市場価値は4〜5億円、バブルの頃はそれ以上あったかもしれません。土地の価格は値上がり続けるという土地神話が生きており、金融機関は4億円を融資してくれました。
しかしながら、自己資本の土地と借り入れによる建物を合わせて8億円のリスク資産の運用で、せいぜい1億円の売上、オーナーの手元に残る利益は初期の調子が良い時期でもたかだか2千万円くらい。そもそも前提からしてどうだったのか?
両親それぞれに訊いてみたのですが、父も母も答えは一緒で、「専門家のコンサルタントが計算して大丈夫と言ったから」のみです。