2013年07月31日
家業再生51(ビジネスのサバイバル性1)
うちの家業はホテルに建て替える以前は旅館でした。旅館がそのままホテルへの建て替えを行って宿泊業を続けるというのは、当時よくあるパターンだったようです。
小規模にビジネスホテルを経営されている地元の同業者の方々は、以前から旅館をされていた方が多く、お互い昔からの知り合いです。
旅館からビジネスホテルへの転換が数十年前に全国的に行われていた時は、うちのように「コンサルタント」に相談して、旅館からビジネスホテルへと業態を新たにするのは一般的なことでした。
そのように「皆が同じようにやっている」ので、ビジネスモデルそのものの財務的評価を自分達ですることなく、「コンサルタントを信用して」父は4億円もの負債を抱え込んだわけです。
小規模にビジネスホテルを経営されている地元の同業者の方々は、以前から旅館をされていた方が多く、お互い昔からの知り合いです。
旅館からビジネスホテルへの転換が数十年前に全国的に行われていた時は、うちのように「コンサルタント」に相談して、旅館からビジネスホテルへと業態を新たにするのは一般的なことでした。
そのように「皆が同じようにやっている」ので、ビジネスモデルそのものの財務的評価を自分達ですることなく、「コンサルタントを信用して」父は4億円もの負債を抱え込んだわけです。
そもそも「コンサルタント」といっても、設計会社のコンサルタントでした。当然ながら、その方に相談すれば建設の話が進むような報告書を作り、自然とホテルを建設するような話の方向になるはずです。
当時の認識では、土地という担保さえしっかりしていればほぼ「ノーリスク」で 融資を行えるので、金融機関も話を進める側に付いたことは想像に難くありません。
ホテルが建設されることになれば、さまざまな利害関係者が発生しますが、基本的にはうち以外は皆ホテルが建設されることによって潤う仕組みになっています。
バランスシート全体の構造としては、信用取引を行うことによって長期的なリスクを父だけが負うことになってるのですが、そのような見方を今でもできない父は、「専門家」を信用してなされるがままでした。
今から思い直すと以上のようになるのですが、自分はべつに騙されたとか、ひどいことをされたとかは全く思っていません。なぜなら、自身でビジネスを立ち上げて、その世界で取り引きをするのは、もともとそういうものだからです。
開業時のことだけでなく、今までのさまざまな経緯を、折に触れて聞ける範囲で父母それぞれから聞いたのですが、事業についてほとんど自分達で判断することはなかったようです。
「コンサルタントの人がすすめたから」
「銀行の人がそう言ってるから」
「業者さんがそうするしかないと言ってるから」
また、自分たちに責任があることもあまり自覚していません。
「専門家がそう言ったから仕方ない」
「ずっと景気が悪かったから」
「自分は間違っていない」
当然のことながら、そのような認識だと、はっきりとは目に見えない形で関係者から「搾取」されているのですが、全体の構造がわかっていないためその自覚がなく、痛みすら感じられないのは、繰り返しになりますが、悲劇を通り越して喜劇です。
母に昔の話を聞いている途中で、以下の思いがふつふつと心の底から起こりました。
(これは・・・、まさに・・・、サバイバルだ。)
そして母に対してつぶやきました。
「生きるか死ぬかの世界だね。」
「死」という言葉に少しばかり緊張したような表情をしたような感じはあったものの、 「何を大袈裟な」とでも言いたいような雰囲気からすると、母はその言葉の意味が腑に落ちていなかったようです。
当時の認識では、土地という担保さえしっかりしていればほぼ「ノーリスク」で 融資を行えるので、金融機関も話を進める側に付いたことは想像に難くありません。
ホテルが建設されることになれば、さまざまな利害関係者が発生しますが、基本的にはうち以外は皆ホテルが建設されることによって潤う仕組みになっています。
バランスシート全体の構造としては、信用取引を行うことによって長期的なリスクを父だけが負うことになってるのですが、そのような見方を今でもできない父は、「専門家」を信用してなされるがままでした。
今から思い直すと以上のようになるのですが、自分はべつに騙されたとか、ひどいことをされたとかは全く思っていません。なぜなら、自身でビジネスを立ち上げて、その世界で取り引きをするのは、もともとそういうものだからです。
開業時のことだけでなく、今までのさまざまな経緯を、折に触れて聞ける範囲で父母それぞれから聞いたのですが、事業についてほとんど自分達で判断することはなかったようです。
「コンサルタントの人がすすめたから」
「銀行の人がそう言ってるから」
「業者さんがそうするしかないと言ってるから」
また、自分たちに責任があることもあまり自覚していません。
「専門家がそう言ったから仕方ない」
「ずっと景気が悪かったから」
「自分は間違っていない」
当然のことながら、そのような認識だと、はっきりとは目に見えない形で関係者から「搾取」されているのですが、全体の構造がわかっていないためその自覚がなく、痛みすら感じられないのは、繰り返しになりますが、悲劇を通り越して喜劇です。
母に昔の話を聞いている途中で、以下の思いがふつふつと心の底から起こりました。
(これは・・・、まさに・・・、サバイバルだ。)
そして母に対してつぶやきました。
「生きるか死ぬかの世界だね。」
「死」という言葉に少しばかり緊張したような表情をしたような感じはあったものの、 「何を大袈裟な」とでも言いたいような雰囲気からすると、母はその言葉の意味が腑に落ちていなかったようです。
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この記事へのコメント
1. Posted by みちる 2013年08月05日 23:26
bestbook先生、一頃は農家の方々へも同じような手法が取られていました。
金融機関からお金を借りて(借りさせられて)、名前だけマンション風のアパートを建てます。
家賃で借入金も返済できるし、何より土地の評価が下がるので、相続税対策になるという触込みでした。
今となっては、リフォームする余力もなく老朽化したアパートは、空室だらけです。
先生は税務もよくご存知ですし、会社には顧問税理士もついていると思いますので、大変差し出がましい書き込みですが、税務上の繰越欠損金があれば、それとお父様が会社への貸付金を放棄して生ずる債務免除益を相殺するというのはいかがなものでしょうか。
金融機関からお金を借りて(借りさせられて)、名前だけマンション風のアパートを建てます。
家賃で借入金も返済できるし、何より土地の評価が下がるので、相続税対策になるという触込みでした。
今となっては、リフォームする余力もなく老朽化したアパートは、空室だらけです。
先生は税務もよくご存知ですし、会社には顧問税理士もついていると思いますので、大変差し出がましい書き込みですが、税務上の繰越欠損金があれば、それとお父様が会社への貸付金を放棄して生ずる債務免除益を相殺するというのはいかがなものでしょうか。
2. Posted by bestbook 2013年08月06日 22:24
みちるさん、コメントいただきありがとうございます。
たしかにうちのケースは農家の方のケースと似ていますね。短期的に得をするということで、長期的なリスクを知らないうちに取っています。
繰越欠損金のご提案ありがとうございます。欠損金は過去に生じた金額が多く、ここ数年売上げが縮小していたこともあり、税務上相殺できる欠損金は父の貸付と比較してほとんどなかった状態(おおざっぱに1000万くらい)でした。
また昨年度に想定外の利益が生じたこともあり、残念ながらわずかな欠損金はすべて使い切ってしまいました。
でも貴重なアドバスいただきありがとうございます。
たしかにうちのケースは農家の方のケースと似ていますね。短期的に得をするということで、長期的なリスクを知らないうちに取っています。
繰越欠損金のご提案ありがとうございます。欠損金は過去に生じた金額が多く、ここ数年売上げが縮小していたこともあり、税務上相殺できる欠損金は父の貸付と比較してほとんどなかった状態(おおざっぱに1000万くらい)でした。
また昨年度に想定外の利益が生じたこともあり、残念ながらわずかな欠損金はすべて使い切ってしまいました。
でも貴重なアドバスいただきありがとうございます。