2013年08月05日

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『蔵書の苦しみ』

蔵書の苦しみ (光文社新書)
蔵書の苦しみ (光文社新書) [新書]

本好きの人にとって、書物の管理をどのように行うかは、本が好きであればあるほど大きな問題です。本書はタイトルに「苦しみ」とありますが、自宅に「蔵書」とも言えるべきものある方にとって、この単語の選定は心に響くかもしれません。

本書に詳しく述べられていますが、著者自身も本好きな方で、ライター、書評家という肩書きからも、本に囲まれた生活を想像することができます。

本書の目次は以下の通りです。



 

  1. 蔵書が家を破壊する
  2. 蔵書は健全で賢明でなければならない
  3. 蔵書買い取りのウラ側
  4. 本棚が書斎を堕落させる
  5. 本棚のない蔵書生活
  6. 谷沢永一の蔵書
  7. 蔵書が燃えた人々
  8. 蔵書のために家を建てました
  9. トランクルームは役にたつか?
  10. 理想は五百冊
  11. 男は集める生き物
  12. 「自炊」は蔵書問題を解決するか?
  13. 図書館があれば蔵書はいらない?
  14. 蔵書処分の最終手段
著者の知人や著名人がどのように蔵書と関わり、蔵書を整理し、蔵書を愛で、そして蔵書に苦しめられたかが豊富なエピソードとともに数多く語られています。

本好きの方であれば、 大なり小なり本書に書かれていることにはどこか身につまされる部分があるに違いありません。

本書に登場する方々ほどの数の蔵書もなく、モノとしての本に対する愛着もさほどはないのですが、それでもやはり自分も本には思い入れがあるので、本書を読んでいるといつの間にか「苦しい」感じに共鳴してしまっています。

最近ちょっと頑張って本の整理をしようと思っているのですが、気持ちだけで行動が追いついていない状態です。定番のツールを購入して、いわゆる自炊もしてみましたが、少しばかり自炊してみた結果、空間の問題が時間の問題に変換されただけであることがわかりました。

本書は本について書かれていますが、所有することに対する苦しみについて、とくに男が所有することの苦しみについて書かれているとも読めます。

本は空間を占有するので、見た目にわかりやすいのですが、何らかのものを所有することで占有されるのは空間だけではありません。

男が所有したがる代表的なものは地位や女性ですが、これらは多くの時間を占有します。もちろんこれらのものは喜びをもたらしてくれます。とくに所有し始めた最初の頃はそうです。

しかしながら、時間の経過とともに苦しさをもたらすことが少なくありません。実のところ喜びと苦しさは表裏一体のようなもので、最初から両方とも存在しているのですが、意識がどちらにフォーカスされるかの違いしかないのかもしれません。

本書は蔵書があるほど本好きな方が読むと、いろいろと参考になる部分があると思います。

「蔵書の苦しみ」を根本的に解決するためには、何らかの形で執着を捨てるしかないのですが、本に対する執着が強いからこそ蔵書という形になっているわけであり、本に限らず、一般的に自身がこだわっている執着をなくすことの難しさはそのあたりにあると思われます。


investmentbooks at 21:11│Comments(0)TrackBack(0)clip!本--その他 

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家業再生のためしばらく書評ブログを休止していましたが、一段落したのでブログ再開します。以前は1日1冊のペースでしたが、今回の更新は不定期です。書評は以前と同じようにビジネス、投資、経済本が中心となりますが、これからはそれ以外の本の紹介に加えて、3年間集中して行った家業再生、その他アイデアだけは溜めていた多くのことを気ままに書き綴る予定です。
このブログについて
2006年に開始し2010年7月にいったん休止。2013年7月より再開しました。
以前は1日1冊のペースで書評していましたが、再開後は不定期更新で、書評以外についても書きます。
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