本--資金調達
2007年11月02日
『晴れた日には銀行から傘を借りよう』
小堺 桂悦郎著 2007年11月1日発行 1470円(税込)
ベストセラー『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』の著者の最新作です。「社長のベンツシリーズ」ですっかり有名になられましたが、もともとは『借金バンザイ!』『粉飾バンザイ!』などの中小企業の資金繰りについての本を書かれていました。
本書は中小企業向けに、企業の成長に合わせた借金についての考え方を、現実的な視点から解説されています。タイトルからもわかるように、借金はできるときにしておこうということが書かれています。
銀行は経営状態が芳しくなく本当にお金を必要とするときには貸してくれないことが多いです。銀行も商売ですから、リスクが高いところには貸したがらないのは仕方ないと思います。
であるならば、借りられるときに借りておいたほうがよいということになります。とくに最近は低金利なので、年3%程度の利子は保険料のようなものかもしれません。
全体的に読みやすく平易に書かれているので、中小企業の税務や会計についてある程度本を読まれている方は物足りない点もあるかもしれません。知っているからトクをするというよりも、知らないと大損をするかもしれないというようなことです。
著者の今までの本と異なった本書の特徴は、起業の時点からのことが書かれていることです。具体的な決算書の調整や銀行との交渉については、今までの著者の本の方が詳しく書かれています。
「社長のベンツシリーズ」は会計の本なので、ベストセラーになりましたが、本書は中小企業の経営者向けの本なので、読者層としては限られてくるかもしれません。
しかしながら、これからは一般の雇われ人も経営者的な考え方が必要になってくると思われるので、そのように考えると万人向けの本とも言えるかもしれません。
2007年01月21日
『お金を集める技術』
青木 寿幸著 2006年10月31日発行 1400円(税抜き)
お金を集める技術 あなたの「アイデア」「ノウハウ」「事業計画」に資金が集まる。成功するファンドのつくり方
ファンドのつくりかたの本です。著者は公認会計士・税理士で、いままで100以上のファンドの組成に携われたそうです。著者のホームページはこちらです(専門的な内容です)→匿名組合.com
ファンドによる資金調達は、今までの日本では一般的にはあまり行われていませんでした。普通に生活している人が、ファンドに出資するということはほとんどなかったと思います。ファンドという言葉じたいも日常的には、数年前まではあまり聞かれない言葉でした。
時代の流れとしては、今後直接金融がよりいっそうさかんになると思われます。まだまだ市場が未整備だとは思いますが、銀行に預ける代わりに、リスクマネーを直接ファンドに出資するということも日常的になることでしょう。
本書は、お金を集める意味、どのようなところに注意してお金を集めるか、そしていかにしてお金を返すかあるいは返さないかということについてわかりやすい言葉で書かれています。言葉はわかりやすいですが、プロが書かれただけあって、ある程度考えながらじっくりとよまないと理解できないところもあり、読みごたえがあります。
興味のある方は本書を読んでいただくとよいのですが、一つ書いておくと、お金を集める人はいつも
- 配当
- 財産価値
- 税金
について、いつも考えておく必要があるとのことです。1と2はわかりやすいのですが、3については見落としやすいところです。ポイントは、投資する人の立場になって考えるということです。やはり、人の立場になるということが、商売、人間関係などと同じように重要なようですね。
お金を集めるときのみならず、お金をファンドに出資するときにもファンドの根本的な仕組みを理解しておく必要があると思うので、投資に興味のある方にとっては、本書は役立つ本であると思われます。