本--会計
2010年04月20日
2010年03月19日
『決算書でよむ企業と業界力』
国貞 克則著 2010年3月19日発行 800円(税込)
決算書でよむ企業と業界力 (ベスト新書)
著者:國貞 克則
販売元:ベストセラーズ
発売日:2010-03-09
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年度初めが近づいてきているので、最近は書店で決算書について書かれている新刊をよく目にします。それぞれの本が独自の工夫がなされていて興味深いのですが、本書のウリの一つは数年前のベストセラー『決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法』の著者によって書かれたものであるということです。
本書でも図がふんだんに用いられており、なんと100個以上あります。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2010年02月01日
『会社の数字を科学する』
内山 力著 2010年2月3日発行 861円(税込)
会社の数字を科学する (PHPサイエンス・ワールド新書)
著者:内山 力
販売元:PHP研究所
発売日:2010-01-21
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本書のPHPサイエンスワールド新書は創刊されてまだ間もない新書のシリーズです。いままで本当のサイエンス関係の本を出していましたが、本書はシリーズの中では初めての文系関係の本です。
著者は現在ビジネスコンサルタントをされていますが、もともと理系出身の方です。そのようなバックグラウンドが本書のタイトルに結びついたのかもしれません。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2009年11月18日
『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』
奥村 佳史著 2009年11月20日発行 840円(税込)
法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる (光文社新書)
著者:奥村佳史
販売元:光文社
発売日:2009-11-17
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タイトルの通りかどうかは分かりませんが、法人税がある程度分かれば、会社のお金の流れの理解が深まるのは確かです。著者は税理士をなさっているかたです。
法人税について書かれている本は、実用書の体裁をとっていることが多く、一般向けにはいかにして節税をするかの観点から書かれているものがほとんどですが、新書である本書は新鮮です。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2009年09月05日
『「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】』
小宮 一慶著 2009年9月17日発行 1575円(税込)
「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】
著者:小宮 一慶
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-09-04
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以前に紹介した『「1秒!」で財務諸表を読む方法』の実践編です。「実践編」とあるだけあり、本書では前作より、一歩進んだ財務諸表の読み方が解説されています。
本書の内容は前作と比べると、以下の目次から分かるように、財務諸表を読む本としてはオーソドックスな構成になっています。
続きを読む2009年08月28日
『実証会計学で考える企業価値と株価―本当にいい会社の見分け方』
山本 昌弘/東洋経済新報社財務・企業評価チーム著
2009年9月8日発行 1890円(税込)
実証会計学で考える企業価値と株価―本当にいい会社の見分け方
販売元:東洋経済新報社
発売日:2009-08
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東洋経済新報社が出版してる『会社四季報』や『会社四季報CD-ROM』のデータベースをもとに、「本当にいい会社の見分け方について、実証会計学の視点から解説されたのが本書」だそうです。
本書はどちらかというと学問的な本であり、本書を読んで株式投資のパフォーマンスがアップするかどうかについては、何とも言えないところかもしれません。本書の目次は以下の通りとなります。
続きを読む2009年06月08日
『貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する』
橘 玲著 2009年6月5日発行 1680円(税込)
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する
著者:橘 玲
販売元:講談社
発売日:2009-06-04
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橘玲氏の新刊です。早々と今朝smoothさんが紹介されていますが、相変わらずの橘節は健在です。本書は、以前の著者の本をより物語風にして読み物として面白く書き直されている印象があります。
本書で書かれていることを簡単にまとめると、被雇用者は法人を設立して経済的により自由になりましょうということです。
続きを読む2009年05月16日
『財務3表一体分析法』
國貞 克則著 2009年5月30日発行 819円(税込)
財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)
著者:國貞 克則
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-05-13
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2年前に本ブログでも紹介したベストセラー『財務3表一体理解法』の続編です。前作は新書ながら29万部売れたそうです。本書も新年度開始の時期に合わせて、満を持しての出版となったようです。
前作は財務3表における有機的な関連について述べられた本でしたが、本書ではさらに一歩踏み込んで、財務3表を用いた経営分析・財務分析について書かれています。
続きを読む2009年05月13日
2008年09月13日
『会計的に見る!技術』
本郷 孔洋著 2008年9月24日発行 700円(税込)
著者は長年公認会計士、税理士として仕事をされている方です。本書はタイトルから受ける印象とは異なり、会計の細かい技術的な内容についての本ではなく、会計や経理、中小企業経営などにまつわるエッセイ的な内容の本です。
比較的自由な形で書かれているので、専門家の雑談や講演を聴いているように感じられ、肩の力を抜いて読むことができます。その中に会計を通じて中小企業の経営のヒントになるようなことも書かれています。
続きを読む2008年09月01日
『悪の会計学』
大村 大次郎著 2008年7月15日発行 1470円(税込)
元国税調査官大村大次郎氏の新刊です。タイトルからは脱税の本のように思ってしまいますが、中小企業向けの節税の本です。「悪」なことについてはあまり触れられていません。
要領のよい人は要領のよくない人からすると「悪」に見えてしまうかもしれません。ルールがはっきりしないところでは、要領のよくない人からよい人に経済的資源が移動するので、経済的資源を目に見えない形で奪われると考えると「悪」なのかもしれません。
続きを読む2008年07月29日
『一目で見抜く!財務諸表解読法』
柴山 政行著 2008年7月1日発行 1575円(税込)
一目で見抜く!財務諸表解読法―ざっくり押さえて仕事に役立つ会計の本
財務諸表の解説書は数多く出版されており、最近はわかりやすい何らかの特徴がないと類書との差別化を図るのが難しくなってきています。そのような状況でも、一時期ほどの数ではありませんが、入門書はコンスタントに出版され続けています。
そのような点からすると、会計の入門書は英語の学習書と似ています。英語の学習本が昔から出版され続けており、今でも出版され続けているのは、英語学習というニーズの山における裾野の広さと、高さによる登りにくさにその理由があります。
続きを読む2008年05月17日
『「俯瞰」でわかる決算書』
中村 亨著 2008年4月17日発行 1575円(税込)
マインドマップ的読書感想文で存在を紹介されていた本です。だいぶん前に注文したのですが、アマゾンでしばらく在庫切れだったようで、最近ようやく入手できました。
「俯瞰」とは話し言葉ではあまり使わないと思いますが、高い視点から見下ろして眺めることです。決算書の本は数多く出ていますが、数多くあるので差別化が難しく、タイトルは決算書本の重要なポイントのようです。決算書本の『財務3表一体理解法』が売れ続けているのはタイトルのよさもあると思います。
続きを読む2008年04月14日
『決算書の謎』
矢野 雅己著 2008年4月10日発行 840円(税込)
決算書の謎―財務諸表に隠された謎の数字を追え! (MONEYポケットブック 2)
アマゾンで画像がまだアップされていません。本書は会計士の方が書かれた本で、有価証券報告書の読み方について、実際の有価証券報告書を引用しながら解説されている本です。
最後のまとめの章を除くと、本書は大きく3つの章に分かれています。第一章は、決算書本ではよく採りあげられる内容ですが、ニッサンのV字回復について、第二章は出版社4社の、第三章はアパレル業界3社の比較になっています。
続きを読む2008年04月09日
『会計のルールはこの3つしかない』
石川 淳一/松本 武洋著 2008年4月21日発行 819円(税込)
まだ画像がありませんが、洋泉社新書の新刊です。本書は会計の入門書ですが、類書にあまりない特徴としては、財務会計と複式簿記を中心に書かれていることです。
3つのルールですが、「”ぱなし”と”ぱなし以外”に分ける」「費用配分」「保守主義」となっています。これだけだと分かりにくいですが、本書ではコロンブスの話を用いて、分かりやすく解説されています。
続きを読む2008年03月05日
『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』
小宮 一慶著 2008年3月1日発行 1050円(税込)
このブログで著者の著書を紹介させていただくのは、本書で4冊目、今年に入ってから3冊目となります。ハイペースで良書を書かれているので、どうしても紹介する回数が多くなってしまいます。
本書は以下の前作と同様、同じディスカヴァー携書の一冊として出版されています。ビジネスの数字に絞って書かれており、前作で読み足りない思いがしたところを補完する内容です。
続きを読む2008年02月19日
『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』
山田 真哉著 2008年2月20日発行 735円(税込)
「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)
以前にこのブログでもご紹介した『食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字〈上〉』の下巻です。上巻が発売されてからなかなか下巻が出ないなと思っていましたが、本書のもともとの原稿の量は実際の本の4倍あったそうで、削ることなどにも時間がかかっていたのでしょう。
本書は、まずタイトルが面白いと思います。著者のブログによると、このタイトルについては決定までに一騒動あったようです。著者の本を読むときは、最近は内容よりもむしろそれ以外の部分に興味があります。中身も新書にしては珍しく著者十八番の小説が挿入されていたりします。
続きを読む2008年02月14日
『数字のツボ』
山田 真哉ほか著 2008年2月17日発行 1000円(税込)
数字のツボ―決めつけ、常識破り、ざっくり なぜ牛丼用「おたま」の穴は47個なのか (PRESIDENT BOOKS)
雑誌「プレジデント」の過去の特集「数字のウソ、決算書の秘密」と「『数字王』選手権」が再編集され、プレジデントブックスとして新たに発売されたものです。決算書からインド式数学まで、経営の数字に関係する話題が集められていますが、やはり最も多いのは決算書に関連する話です。
すでに本を書かれている著者に雑誌用に書き下ろしてもらったり、直接インタビューしたりした内容が多く、すでに単行本でその内容を知っている場合もあると思われますが、本書のウリは内容の深さではなく扱われている話題の幅広さです。
続きを読む2008年02月12日
『おみくじの原価は1円!』
金子 哲雄著 2008年2月23日発行 735円(税込)
おみくじの原価は1円! 時代を超えて生き残るビジネス [宝島社新書] (宝島社新書 261)
ものやサービスの値段のからくりについて考える本であり、テーマは「お金をかけずに売上・利益を高める」ことです。著者はそのため、世界中の行列のできる店を訪問・取材されたそうです。
タイトルは、著者のものの価格を考えることの原点が小学校時代のおみくじにあることから来ているようです。おみくじの原価は1円だそうですが、だいたい100円くらいで売られているのでボロ儲けにように思われます。
続きを読む2008年01月29日
『「1秒!」で財務諸表を読む方法』
小宮 一慶著 2008年2月7日発行 1575円(税込)
「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本
本書もまだ画像が取得できません。経営コンサルタントである著者の『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』は、今月始めに五つ星の本として紹介しました。
前作はビジネスを通じてのものの見方について書かれた本でした。少しだけ財務諸表の話も出てきましたが、前作を読んだとき、著者のビジネスの数字についての具体的な見方を知りたくなりましたが、まさに本書にそれが書かれています。
続きを読む2007年12月12日
『宅配便は「8分間に1個」「30円の利益」を運んでいる!?』
洞口 勝人著 2007年12月10日発行 1365円(税込)
宅配便は「8分間に1個」「30円の利益」を運んでいる!? 儲けの「しくみ」を原価率と利益率からよむ経済学入門 (JBシリーズ)
日本のさまざまな業界における企業について、決算書から「利益率」と「原価率」の分析を通じて「儲かり度」を中心に、講義形式でやさしく分析している本です。今までにも同じ著者による同様の主旨の本が何冊か出ていますが、このブログで紹介するのは初めてです。
講義は数字についての質問から成り立っています。いろいろな角度から企業の数字を眺めており、例えば次のような問いがあります。
「1箱100円の森永ミルクキャラメルは、108年で価格が何倍になったの?」
続きを読む2007年11月09日
『決算書の暗号を解け!』
勝間 和代著 2007年10月24日発行 1680円(税込)
以下のベストセラーの著者が書かれた本です。本来は会計士さんだったんですね。
年収10倍アップシリーズは、自己啓発の本としてすばらしい本ですが、本書もこられに匹敵するほど、あるいは超えるほどのすばらしい本です。
本書のテーマは、企業がどのように会計における利益を調整するかということです。株式投資での失敗を少なくするためには、決算書を一歩つっこんで深く読み解くことが必要とされますが、本書には利益が会計的にできあがるしくみについて、必要とされることが明快に書かれてあります。
レベルとしては中級者向けになっています。いきなり読めないこともないかもしれませんが、より基礎的なレベルの本を理解してからの方が理解が深まることでしょう。
決算書を読むのはパズルを解くような面白さがあり、本書でもそのように説明されています。楽しむようになれば、さらに深く読めるようになり、よい循環が生まれます。
本書に書かれているような視点は、職業的に数多くの決算書に目を通す過程で自然に身につくものであると思われますが、プロの視点を明快に解説されている本にはなかなか出会えません。
著者は近々光文社新書で『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』という本も出されるようですが、読むのが今から非常に楽しみです。
2007年10月10日
『ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力』
大津 広一著 2007年8月1日発行 840円(税込)
ビジネススクールで身につける会計力と戦略思考力 (日経ビジネス人文庫 ブルー お 7-1 ポケットMBA 4)
文庫本ですが書き下ろしです。著者は、社会人学生に対する会計やファイナンスの指導経験が豊富なようで、本書もテキストと講義内容が一緒になったような内容です。
クイズなどの例題が豊富で、全体を通して自分の頭で考えることが主眼に置かれています。全体は、会計と戦略思考の二つに大きく分かれます。
会計の方は、トヨタの単体の決算書を軸にして、企業活動と決算書の内容をリンクさせ、仮説→検証のプロセスが述べられています。
戦略思考については、マイケル・ポーターの「5つの力」や「バリューチェーン」などの古典的な概念をベースに、製紙業界などを例に挙げて、具体的な分析と解説がなされています。
少しだけ脳が汗をかきますが、その分決算書を読む力はアップすると思います。実際の経営の現場では、理屈通りにいかないことも多いと思いますが、基本的な会計の考え方や戦略思考を知っていれば避けられたかもしれない失敗を回避できることもあります。
本書だけでは具体例が不足していますが、本書で解説されていない企業について、自分で試行錯誤しながら読み解くための足場作りになる本であると思います。できれば、本書と同じような内容の本を各業界についてシリーズ化してもらえると、さらなる理解が深まるように思います。
2007年06月11日
『右脳でわかる! 会計力トレーニング』
田中 靖浩著 2007年3月23日 800円(税抜き)
著者は外資系コンサルティング会社を経て、現在は公認会計士事務所を開業され幅広く活躍されています。会計に関する一般向けの分かりやすい本を過去に数多く出版されており、何冊かの本を読んで面白く勉強させてもらいました。
本書は出版されて少し経ちますが、本屋で目立つこともあり、気になっていた本でした。タイトルに「右脳でわかる!」とあるように、財務3表とその分析方法をイメージで捉えるためのトレーニングをする内容になっています。
本書が「右脳でわかる!」本とすると、昨日紹介した本は、「左脳でわかる!」本になります。本書と合わせて読むと、より理解が深まるかもしれません。
ビール会社、デパート、テレビ局などなど誰もが名前を知っている企業の実際の財務データが例に挙げられており、親しみが持てる構成になっています。
実際の決算書は数字が書かれており、最初は本書に書かれているように、イメージではすぐに理解できませんが、本書を読むと、数字からどのようなイメージを持てばよいかについての手がかりにできると思います。
大部分が見開きによるクイズ形式でのトレーニングになっていますが、個人的に印象に残ったポイントとしては、
- テレビ局は自己資本比率が高い
- 電機大手は剰余金が少なく、負債の比率が高い
- 異業種の比較は売上げより利益の方が望ましい
などがあります。全体的には、初級者〜中級者向けの内容に仕上がっています。
問題については、プロ野球、食品会社アパレルなどにについては、あまりよく業界のことを知らないため、正解できなかった問題もそこそこあり、自分の知識の偏りを再確認できました。
2007年06月10日
『財務3表一体理解法』
國貞 克則著 2007年5月30日 720円(税抜き)
朝日新書の最新刊です。本書の内容は、六本木ヒルズのビジネススクールであるアカデミーヒルズなどで人気講座となっているようです。ちなみに一日の受講料は、本書によると3万円だそうです。
発売されて、日が浅いですが、すでに版を何回か重ねています。不思議と印象に残りやすいタイトルです。タイトルの通り、財務3表である損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書をそれぞれ関連付けて、有機的に理解することを目標としています。
通常のビジネスにおいては、著者によると経理などの専門職でなければ、必ずしも簿記の知識は必要ないということで、本書ではなるべく簿記を解説することなく、財務3表を解説するように書かれており、実践で応用が利く重要なポイントのみに絞られています。
自分でビジネスを始めるということを想定して話が進んでいくため、本の流れに参加しやすい構成となっています。実際の講座をもとにしているだけあって、単に面白く読ませることを中心に書かれた類書とは一線を画しており、本質的な理解が得られるように解説されています。
退職給付会計、時価会計、減損会計、自社株買い、税効果会計、のれん、新株予約権などの近年重要性が高まっている概念についても触れられており、ビジネスのみならず、株式投資のためにも役立つ内容です。
ここ数年思うことは、確実に新書の質が上がってきているということです。次々と新しく創刊されており、出版社間の競争も激しくなってきているようですが、新書を買って読む人の数も拡大しているのでしょう。本好きの一読者としては、良質な本が安価にたくさん読めて、うれしい限りです。
2007年05月01日
『食い逃げされてもバイトは雇うな』
山田 真哉著 2007年4月20日発行 700円(税抜き)
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 』や「女子大生会計士シリーズ」のベストセラーがある山田真哉氏の最新作です。わかりやすさ、面白さ、読みやすさがウリで、本書も「1時間で読める本にするつもりで」書かれたそうです。味わいながら読んだので、1時間はちょっと厳しかったです。
本書は、上巻となっており、下巻もそのうち発売予定のようです。本書の前半は、ビジネスにおける数字の使い方、後半は、会計、株式投資、決算書の簡単な解説となっています。
タイトルからもわかるとおり、本書は売るための本という商品を強烈に意識して作られています。
- 読みやすく、役に立ち、面白い
- クイズ形式になっており、読者としての参加意識が持てる
- わかりやすい図や絵が多用されている
- それぞれの章にまとめがある
- 最後に会計セミナーがある
- 重要な部分が太字になっている
- タイトルが前著をイメージさせる
- オビにテレビでもおなじみの著者の写真付き
- オビに「ミリオンセラー第2弾!」と書かれている
その他にも、いろいろと工夫されている点があります。最後の「ミリオンセラー第2弾!」については、ややトリッキーに思われる方もいるかもしれませんが、うまいコピーです。
売れるにはワケがあります。本書は、内容も面白いのですが、内容と直接関係のない「つくり」の部分も面白く役に立つ本です。
2007年04月24日
『「株のカリスマ」プロフェッサー・サカキのお金をふやす頭脳トレーニング』
榊原 正幸著 2007年4月18日発行 1300円(税抜き)
「株のカリスマ」プロフェッサー・サカキの お金をふやす頭脳トレーニング
バリュー株投資の著作がある榊原教授の最新作です。著者の名前から、株式投資について書かれていることを期待する方は、本書よりも他の著作を参照した方がよいと思います。本書とほぼ同時期に株式投資については、以下の本が出版されています。
株価予測黄金の方程式―現役大学教授がこっそり教える 木を観て森も観る!
まだ読んでいませんが、この本もすでに購入しているので、面白ければ紹介させてもらいます。
また、過去に以下のような本も出版されています。両方とも、株式の価値を算定する上で参考になる本です。
現役大学教授がこっそり教える株式投資「必勝ゼミ」〈第2講〉進化する頭脳―まだまだあった!知られざるお宝発掘法
手軽に新書で読めるものとしては、以下のものがあります。
今回紹介した本は、株式投資についても少し書かれていますが、どちらかというと、一番重点的に述べられているのは、会計の概念で重要な割にはわかりにくいといわれる減価償却についてです。会計の著作を数多く書かれている金児昭氏も、減価償却がわかれば会計がわかったようなものであると書かれていました。本書では普段の生活でよく出てくる、住宅や車を例に挙げて、具体的な数値入りで懇切丁寧に解説されています。
本書にありましたが、簡単に言うと、減価償却とは「資産の価値が目減りすること」です。結婚相手としての男性の価値を算定するときにも、減価償却の概念が使えるかもしれません。年を取れば取るほど、残存価値をカバーする貯金や収入などの資産がないと、経済的な面からのみみた結婚相手としての市場価値は落ちてしまいそうです。
本書には、始めと終わりに、時間とお金の関係や、「夢」などの人生論について書かれている部分もあり、その部分も、お金と絡めて人生について考えるきっかけになります。
2007年04月10日
『女房を質に入れるといくらになるのか?』
永野 良祐著 2007年4月1日発行 700円(税抜き)
女房を質に入れるといくらになるのか?―投資理論や会計学でみる結婚・家族の“正体”
著者は、「外資系金融機関にてデリバティブを駆使した金融商品の開発に長期間従事」した後、現在は金融アナリスト/評論家をされています。『プロが絶対買わない金融商品』という本もあり、さまざまな金融商品の仕組みが解説されており、読みごたえのある本でした。
本書の内容はサブタイトルとは若干異なり、投資理論や会計学を使って結婚や家族について解説しているというより、投資理論や会計学の解説のために結婚や家族の概念を利用しているという感じでした。
著者が家庭的な人であるためか、本書では、結婚などを投資理論で説明するときにありがちな、また、タイトルから想像されるような、「毒気」といったものがありません。その分、善男善女にとって、安心して読める内容になっています。
『プロが絶対買わない金融商品』では「毒気」があったのですが、本書は控えめです。内容が内容なだけに、著者が奥さんに遠慮したのかなと邪推してしまいます。
投資や会計の入門書として読めば、とくにバランスシートの在庫の解説などがわかりやすく、最初から「毒気」を期待しない人にはよい本であると思います。
2007年03月24日
『会計を使って経済ニュースの謎を解く』
望月 実著 2007年3月20日発行 1400円(税抜き)
会計を使って経済ニュースの謎を解く~決算書の読み方が変わる7つのエピソード
わかりやすい説明とユニークなイラストでベストセラーとなった『数字がダメな人用 会計のトリセツ [取扱説明書]』の作者である望月実さんの新しい本です。前作に続き、会計に親しみを持つための初心者向けに書かれた本ですが、読みやすく、初心者以外の方でも楽しめる内容です。
サブタイトルにある7つのエピソードについては、
- 甲子園球場の土地はなぜ決算書では800万円か?
- 日産はなぜV字回復したか?
- なぜ楽天は赤字なのに株価が高いか?
- 会計の2009年問題とは?
- ライブドアの会計トリックは?
- エンロンの会計トリックは?
- 企業の業績はよいのになぜ景気が回復した実感がないか?
などです。それぞれの答えのキーワードは
- 事業用資産
- 特別損失
- のれん
- 会計基準
- 投資事業組合
- SPE
- コストカット
です。比較的よく話題になるテーマなので、キーワードでピンと来る方、キーワードを出すまでもなく、もともと答えがわかっていた方も多いと思います。
1〜7までのテーマはそれぞれ一段落していますが、すべてこれからさらに進展すると思われるため、今後も目が離せませんね。
阪神と阪急の統合、日産の業績、楽天の事業展開、今後の会計基準はまだまだ不確定な部分が多いですし、投資事業組合やSPEの利用はますます盛んになると思われ、それに従って新たな問題も出てくることでしょう。企業の利益配分の問題についても、株主と従業員との間の分配を巡って議論が盛んになると思われます。
2007年02月01日
『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?~決算書編』
小堺 桂悦郎著 2007年2月12日発行 1400円(税抜き)
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?~決算書編~誰も教えてくれなかった!裏会計学その2
ベストセラーである前著の続きで、今回は決算書編です。前作をご存じの方は、本書が書店に積んであるのを見るとおやっと思われるかもしれません。参考のため、下にのせておきます。
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?誰も教えてくれなかった!裏会計学
色が黄色からピンクに変わり、ベンツの見え方が少し変わっています。書店で今回の続編を見たとき、目を引きつけられてしまいました。前作を知っている人は、一目で続編であるとパターン認識できます。
ピンクは以前は本の表紙にはあまり使われなかった色ですが、最近は潜在意識系の本に盛んに用いられています。現在のところ、マーケティング的にはかなり効果のある色ということでしょう。今後は、多く用いられると効果が少なくなるかもしれませんが、今のところは効果のある色です。
ちなみに、前著に便乗していると思われる、以下のような本もあります。
日本一わかりやすい「ムーブ!の疑問」の大発見 社長のベンツは本当に4ドアなのか? 知らなかった!世の中のカラクリ
著者は違う方です。内容も純粋な会計の本ではありません。ちょっと笑えます。
最近は本のタイトルのキャッチコピー化が目立つようになりました。とくに、ビジネス書、新書で顕著です。本も商品であることを考えると、タイトルのキャッチコピー化は時代の流れでしょうか。装丁もここ数年で、とりあえず手にとって見たくなるようなものが多くなってきていると思います。おそらく、インターネットに応用されているマーケティングの手法が、以前よりあるメディアの書籍に、逆利用されているのではないかと思われます。
雑談が長くなってしまいました。もともと著者は、『借金バンザイ!』、『粉飾バンザイ!』、『税金バンザイ!』などの本で、コツコツとヒットを飛ばしておられました。それが、前回の『なぜ、社長のベンツは・・・』でホームランとなりました。
じつは、黄色い表紙の前作を読んだときには、内容としてはよくできているとは思うのですが、ここまで売れるとは思っていませんでした。たしかに、わかりにくいところをわかりやすく解説されているのですが、類書と比べて内容が傑出しているというわけではありません。売れた理由は、タイトル、装丁、わかりやすさなどがバランスよく組み合わさったためでしょう。
今回も、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの重要であるにもかかわらず、わかりにくい部分である、減価償却費、棚卸資産、粉飾の手法について焦点を絞ってわかりやすく解説されています。焦点をかなり絞ってあるため、本書を読むときは、決算書についての一般的な本に目を通したあとの方がよいと思います。
決算書については本がたくさん出ており、なにか難しいもののように思われていることもあるようです。実際に、中小企業の社長さんなどで、拒否反応を起こされる方もいるようです。
たしかに決算書は、会計士や税理士などの専門職があるように、細かいところまで正しく作成するのは高度な専門的知識が必要であると思うのですが、株式投資のためや取引先のものを読んだりするのであれば、そんなには難しくないのではないかと思います。基本的には足し算と引き算の世界です。
決算書は難しいというより、取っつきにくいといった方が正しいかもしれません。用語や概念に対する慣れができるまでは、ある程度の辛抱が必要かもしれません。私も決算書の本を初めて読んだときは、わからない言葉の連続で辟易してしまいましたが、5冊、10冊、20冊と読んでいくうちにだんだんと慣れてきました。気がついてみたら、ある程度わかるようになっていたという感じです。
あきらめずに何度も何度も繰り返し時間をかけて読めば、かならず理解できると思います。一度理解してしまえば、一生使える知識です。そのような意味でも、決算書は語学と似ているかもしれません。習うより慣れろですね。