本--対人関係
2013年07月22日
『嘘の見抜き方』
嘘の見抜き方 (新潮新書) [単行本]
著者は長年検事として勤めていた方で、現在は弁護士をされています。本書は取り調べの現場で積み重ねられた経験がベースになっており、取り調べの場という極限的な状況から得られた、嘘についての一般的な考察が興味深いと思います。
本書の章立ては以下の通りです。
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2010年01月20日
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』
酒井 穣著 2010年1月20日発行 777円(税込)
「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (光文社新書)
著者:酒井穣
販売元:光文社
発売日:2010-01-16
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ベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者の最新作で、オビにもそう書かれています。タイトルに「テキスト」とありますが、新書ながら本書はかなり体系的な内容です。
本書は著者が勤務されている会社の「人材育成プログラム」の一部だそうです。一部とのことですが、本書の内容だけでもかなり完成度が高いと思います。本書の目次は以下の通りです。
続きを読む2009年09月14日
『やる気を引き出す会話のマジック』
千葉 英介著 にしかわたく画
2009年9月30日発行 777円(税込)
やる気を引き出す会話のマジック NLPコミュニケーション入門 (朝日新書 198)
著者:千葉 英介
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-09-11
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サブタイトルにNLPとあります。NLP(神経言語プログラミング)は、心理療法の世界では数十年前から知られていますが、日本語の翻訳書はあまり存在しませんでした。
しかしながら、ここ数年ビジネス書の世界でNLPについての本が多く出るようになり、NLPという言葉自体もだいぶん知られるようになっています。サブタイトルではありますが、ついに新書でもNLPという言葉が用いられるようになったようです。
続きを読む2009年08月20日
『キラークエスチョン』
山田 玲司著 2009年8月20日発行 693円(税込)
キラークエスチョン (光文社新書)
著者:山田玲司
販売元:光文社
発売日:2009-08-18
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著者は長年にわたり『絶望に効くクスリ』 というインタビューに基づくコミックを書き続けておられ、多くの人々にインタビューをしてきた方です。タイトルにある「キラークエスチョン」とは、「つかむ話よりつかむ質問、相手に気持ちよく話をしてもらう質問、相手の本音を引き出す質問」だそうです。
本書では、代表的な26のキラークエスチョンが解説や具体例とともに説明されています。著者によると、本書の対象は以下のような人たちとのことです。
続きを読む2009年04月08日
『おちまさとの交渉術』
おち まさと著 2009年1月10日発行 1260円(税込)
おちまさとの交渉術
著者:おちまさと
販売元:ぶんか社
発売日:2008-12-22
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著者は著名なプロデューサーの方です。おちまさとさんと言えば、以下の教科書シリーズが有名です。挿絵もユニークで、文庫で入手しやすくなっています。
企画の教科書―ポケット判おちまさとプロデュース
企画の教科書〈2〉企画火山!―ポケット判おちまさとプロデュース
時間の教科書―ポケット判おちまさとプロデュース
初対面の教科書―ポケット判おちまさとプロデュース
本書は交渉術について書かれており、挿絵などはありませんが、実践的な内容です。交渉というと堅くなりますが、コミュニケーションと考えても無理はありません。
続きを読む2009年02月18日
『認められる力 会社で成功する理論と実践』
太田 肇著 2009年2月28日発行 735円(税込)
認められる力 会社で成功する理論と実践 (朝日新書)
著者:太田 肇
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-02-13
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著者は組織やモチベーションについての専門的な著作を数多く書かれている方ですが、本書は意識的に一般向けに書かれているようで、非常に読みやすい本になっています。
タイトルが「認められる力」ですが、本書は主として会社で、あるいは広く考えると社会で認められるための力がテーマになっています。本書の各章のタイトルは以下の通りです。
続きを読む2008年10月21日
『空気の読み方〜「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座〜』
神足 裕司著 2008年10月6日発行 756円(税込)
空気の読み方~「できるヤツ」と言わせる「取材力」講座~ (小学館101新書)
タイトルは「空気の読み方」となっています。サブタイトルに「取材力」と書かれていますが、そちらの方が本書の内容をよく表しています。本書は出版されてから数週間経ちますが、「空気の読み方」本と勘違いしていて、買うのが遅くなってしまいました。
著者は仕事での取材経験が豊富な方です。取材について、「準備編」から「スーパーテクニック」まで、現場で得られたコツがエッセイ風に書かれています。
続きを読む2008年08月03日
『金になる人脈』
柴田 英寿著 2008年7月30日発行 777円(税込)
金になる人脈―その近づき方・つくり方・転がし方 (幻冬舎新書 し 6-1)
少々ドキッとするコピー的なタイトルです。「人脈」という言葉自体が利害や損得を意識して人と付き合うというニュアンスがあるのに加えて、さらに「金になる」という言葉が付いて、もともとの意味が強調されています。
本書の内容については、すでにマインドマップ的読書感想文で詳しく紹介されています。本書からは著者の真面目さが随所から感じられ、タイトルとはかなり異なった印象を受けます。
続きを読む2008年04月28日
『人の上に立つ超脳力』
前田 雄吉/苫米地 英人著 2008年4月28日発行 1575円(税込)
脳機能学者の苫米地英人氏と衆議院議員の前田雄吉氏の共著です。ビジネスリーダーに必要とされる10の条件について、二人のうちのお一人が、一つの条件につき短い提唱をした後、その条件について対談をするという形式になっています。
本の主題の条件と条件のあいだにも、主にIT技術についての対談コラムがはさまれており、読んでいて飽きにくい構成になっています。本書のメインテーマである、ビジネスリーダーの10の条件は以下の通りです。
続きを読む2008年04月10日
『目からウロコのコーチング』
播摩 早苗著 2008年4月17日発行 560円(税込)
目からウロコのコーチング―なぜ、あの人には部下がついてくるのか?
約4年前に出版された本が、PHP文庫として出たものです。コーチングという言葉は、最近になって一般的に耳に馴染んできました。本書はコーチングの基本的なところについて、平易に解説されている入門書です。
本書でのコーチングの場面としては、主に上司が部下をコーチングすることが想定されていますが、会社組織のみならず人間関係が存在するところであれば、あらゆる状況で応用できる内容です。
続きを読む2007年10月28日
『人間関係のしきたり』
川北 義則著 2007年10月29日発行 735円(税込)
『男の品格』という著作もある方の本です。読みやすい本でしたが、内容にあまり普遍性はないかもしれません。年上の大人の男性から、酒場で人生論を織り交ぜた世間話を聞いているような雰囲気の本です。
著者はさまざまなテーマについて、自分が思っているところをそのまま書いているように思われます。一人の独立した大人の考え方が表現されています。人は個人差があるので、著者の話にうなずけるところもあるでしょうし、ちょっと違うかなと思うところもあると思います。どちらかというと参考になるのは、著者と考え方が違うところでしょう。
男女関係についても書かれています。男性について、確実に嫌われる三つのタイプは
- いばる
- ケチ
- しつこい
ということです。反対にモテる三要素は
- 強い
- やさしい
- 信頼できる
と書かれています。これは結論というより、ここから話が展開していくところです。
人間は年を重ねると大なり小なり「自分勝手」になっていきますが、本書は「自分勝手のススメ」というべき内容が多いと思います。人に気を遣いすぎている若い方が読めば、刺激になるかもしれません。マイペースで生きている方には、あまり参考にならない本かもしれません。読む人によって評価が大きく異なる本です。
2007年10月09日
『接客の魔法』
庄司 タカヒト著 2007年8月27日発行 780円(税込)
接客の魔法 プロマジシャンが明かすコミュニケーションの技術 (アスキー新書 24)
クロースアップマジックを専門とするプロマジシャンによって書かれた接客・コミュニケーション術の本です。
著者はテーブルホッピングということをされているようです。聞いたことのない言葉でしたが、レストランなどでテーブルからテーブルを回っていきなりマジックを見せて回るパフォーマンスだそうです。
最近の日本で何かを売る場合、売るためのヒントが本書から多く得られると思います。なぜならば、マジックはどうしてもないと困るものではありませんが、今の日本で多くの人が買うものは、多くのものがなくてもよいものだからです。
著者は知らない人の前に突然現れてマジックを行うわけですが、いかにして受け入れてもらうかをいろいろと工夫されたようです。80%の確率で受け入れてもらうところまではスムーズに進みましたが、そこから上は壁に突きあたったそうです。
ところが、ほんのちょっとしたフレーズで90%以上に確率を上げることができました。その秘密のフレーズとはどのようなものでしょうか。
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2007年08月20日
『知的な距離感』
前田 知洋著 2007年8月8日発行 1365円(税込)
著者の前田知洋氏は、テレビにもよく出演されているマジシャンです。最近マジシャンの方が書かれた、マジックの内容以外についての本を目にしますが、本書は、テーマを対人的な距離の取り方に絞って書かれている本です。
ご覧になった方は同意いただけると思いますが、テレビで目にする前田氏のマジックは驚異的なものがあります。マジックのトリックだけでなく、心理的な側面も非常にも洗練されたものがあります。1のものを見せる時も、10の目に見えない部分での工夫があるように感じますが、本書を読むと、対人的な距離だけをとっても、深く考えられているということを理解できます。
以下章のタイトルを書きますが、本書の内容はそれからある程度想像できると思います。
- 距離を縮める
- 距離を測る
- 空間を測る
- 「空気」を読む
- 見えない相手
- プライベートエリアとは何か
本書は、ビジネスから恋愛まで、人との距離の取り方が重要な場面において参考になる点が数多くあります。具体的な状況での例が挙げられています。例えば、「ドライブ中に愛を告白するのは有効か?」というテーマがあります。
距離感の把握は、達人と言われる方が、意識的・無意識的に身につけており、本当の達人は距離感を意識することもなくコントロールしていると思われますが、達人でなくても、ある程度は意識的に身につけることができると思います。
本書は、タイトルにも「知的な」とあるように、意識的な理解を念頭に置いた内容となっており、対人間の距離における微妙な領域のコントロール方法を身につけるために参考になると思います。
2007年04月01日
『心を開かせる技術』
本橋 信宏著 2007年3月20日発行 720円(税抜き)
幻冬舎新書の最新刊です。本書は、著者の政治家、官僚、風俗関係者、会社経営者などさまざまな人へのインタビュー経験をもとに、いかにして話を聞き出すかについて書かれています。
テクニック的なことも書かれているのですが、最後に著者も書かれているように、最も大切なのは「心から相手を理解しようとする情熱」です。やはり、これが人間関係の基本のようです。テクニックは有用ですが、根本に相手に対する共感がないと長続きしません。
本書はエピソードを集めているところに読みごたえを感じます。心構え自体がテクニックになっています。
本書は幻冬舎から出版されています。幻冬舎という会社は面白い出版社です。いままでアンダーグラウンドであった世界を本として開拓しています。アンダーグラウンドにいながら文才がある人を発掘する力量が社長や編集者にあるのでしょう。魂が入っている本が多いように思います。しかしながら、不思議と歴史に残るのではないかと思われる本は少ないように感じます。
今は桜の季節ですが、幻冬舎の本はすぐに散る桜の花のようです。執着心を感じさせず、内容に潔さがあります。
2007年02月28日
『カリスマ手品師(マジシャン)に学ぶ 超一流の心理術』
スティーブ・コーエン著 宮原 育子訳
2007年2月5日発行 1500円(税抜き)
著者はお金持ちを対象にする「百万長者のマジシャン」で、日本にも1年間留学しています。本書の中にも日本について書かれている部分があります。
英語のタイトルは『Win the Crowd: Unlock the Secrets of Influence, Charisma, and Showmanship』(聴衆を引きつける:影響力、カリスマ性、魅せるための秘密を明かす)であり、日本語のニュアンスとは少し異なります。どちらかというと、多くの人を対象にしたプレゼンテーションをうまく行うための本です。
相手の心を意のままにリードするルールとして
- 大胆に行動する
- 成功を信じる
- 説明ではなく暗示する
- 練習、練習、また練習!
- 万全の準備こそ最大の武器
ということが挙げられています。要は、十分練習して自信と勇気を持つということでしょうか。
その他、信頼関係をつくりだす方法、聞き手に信頼と好印象を与える方法、相手の心理をあやつる方法、相手の気持ちを引きつけて離さない方法、相手の状態や頭の中を見抜く方法、会話を思い通りの方向に導く方法などについて説明されています。
人を引きつけることが仕事であるマジシャンによって書かれているだけあって、体験的、実践的な内容が多く、ふつうの交渉術や対人術の本とはひと味違う本です。
本書のユニークな点は、具体的なエクササイズが多く書かれていることでしょう。例えば、大胆になるための練習として、コインを相手のポケットに知られないように入れるなどという練習法も書かれています。
変わったテクニックとして、デートの相手に本心を打ち明けさせる方法などというものもあります。
楽しみながら実践することにより、本書の本当の価値が出てくると思います。一番重要なのは、実行力と勇気です。勇気を持って実践するというより、実践することにより勇気がついてくるようですね。アメリカらしいプラグマティックな印象を受ける本でした。
2007年02月18日
『鷲の人、龍の人、桜の人 米中日のビジネス行動原理』
キャメル ヤマモト著 2007年2月21日発行 680円(税抜き)
ベストセラー『稼ぐ人、安い人、余る人―仕事で幸せになる』などの著作があるキャメル・ヤマモト氏の本です。昔は外務省でアラブ関係の外交官で、現在は国際的な人材マネジメントのコンサルティングをされているようです。
本書は氏の豊富な体験から、アメリカ人、中国人、日本人の行動様式、お金との関わり方、キャリア観、組織での行動原理などについて具体例を挙げつつ、三者ほぼ対等に描かれています。
中国人に関しては、本ブログでも2日前に紹介したジェームズ・マクレガーの本が引用されていました。本書の執筆中はまだ日本語訳が出ていなかったためか、原題の『One Billion Customers: Lessons from the Front Lines of Doing Business in China』のタイトルで紹介されています。
いろいろと面白い話が紹介されていますが、例えば、「ユダヤ人と華僑に学ぶ子育ての3ポイント」として
- 勉強を大事にする
- 主流ばかりでなく傍流も狙う
- お金と本気でつきあう
などがありました。2番目と3番目はとくに日本人には不足している点です。
また、値引きガイドとして
- 相場をつかむ
- まず単品で買い、後で多く買って値引く
- 値引けたらチップをはずむ
- できれば交渉しない関係を作る
などがあります。関西以外では、最終消費者は価格交渉はしないことが多いですね。
著者も認めていますが、各国の国民性が全体的にステレオタイプ化されています。ビジネスでの視点で書かれているということもあるかもしれません。物事を理解するときに標準化して、それを中心に実際の現場で修正していくというのは有力な方法であるので、本書の書き方はわかりやすくする一つの手法であると思います。